●2020年11月13日(金)
|
紅葉のシーズン。コロナ禍の中、1泊する事でリスクも高まりますが、日帰りなら多少は対策する事でリスク回避できるのも事実です。今回は日帰りかつ平日という条件で、犬と一緒に散歩できる山に行く事にしました。 |
行先は東京都内の御岳山。8年前に先代のしっぽ付きコーギーのくーと歩いたコースを、二代目のしっぽ付きコーギー、めいと共に歩きます。また今回の大きなテーマは、飼い主の運動不足の解消です。半年以上まともに外出していないという状況に加え、8年という年月の経過に老化という不安は残りますが、健康維持のためにも実行に移す事にしました。
|
朝7時半にケーブルカーが動きだすので、それにあわせて一般道だけでゆっくり向かいます。途中コンビニで朝ごはんを購入。主に青梅街道の下りを走りますが、早朝なのでまだそれほど混雑もなく、ほぼ予定通りに御岳登山鉄道の滝本駅に到着しました。駐車場併設のここは始発出発直前にゲートが開くのですが、既に2台車が入場を待っていました。 |
車を停め、用意をして構内に入ると、既に電車と徒歩で来られた人たちが改札に並んでいます。人と犬の往復チケットを券売機で購入して私たちも並びます。するとその間に前後の年配の方々がめいを可愛がってくださいました。犬連れに優しい山は訪れる人たちも優しい方が多いように思えます。 |
そういえば香川のこんぴらさんにめいと登った時も「こんぴら狗」という話があるのを地元の人に聞き、ここの御岳神社と同じように犬に対してやさしく寛大でした。しかしそうであっても飼い主側は好意に甘えすぎる事なく、マナーの遵守やまわりに迷惑がかからないように臨機応変な対応をしっかりしつつ、周囲に常に気を配る必要があるとあらためて思います。何事も当然と思わず、これからもまた犬と一緒に訪れる事ができるようにするためには、今訪れている飼い主の行動次第でもあるでしょう。
|
時間になりケーブルカーに乗り込みます。迷惑にならないよう私たちは一般の方が乗るまで待ってから最後に乗る事にします。犬連れが乗る場所は、車両の進行方向一番後方に決められているので混乱もありません。 |
乗車のルールとして車内でのマスク装着が義務づけられていました。この始発ではおよそ20人ぐらいしか乗っておらずソーシャルディスタンスは確保できていますが、日中や週末はそれどころではないでしょう。実際その状況下になった時、どう対策しているかも気になります。私たちはリスクを避ける努力をするという事もありますが、もともと普段から犬連れ旅ではできるだけ回りに迷惑をかけないようにする事が自分たちにとってもまわりの人たちにとってもよい事であるため、混雑する所にはできる限り近づかない事と、早朝行動に早帰りを心がけています。
|
盛大な発射ブザーが鳴りゆっくりと動き出します。後方からだと下界を見下ろす事になり、見えなかった風景が広がっていくのが楽しくて、眺めているだけで楽しめます。めいも落ち着いていておとなしくしています。 乗
車時間は6分となっている事もあり、あっという間に終点の御岳山駅に到着。下車も一般のお客さんが降りきってからと待っていると、そのあと折り返しの準備のせいかプラットホームから退去するように言われ、慌てて改札を出ました。既に半分以上の乗客はそのまま御岳神社方面へ歩きだしていましたが、残りは御岳平というすぐ横にある展望広場で写真を撮ったりこれから山に向かう人が装備の点検したりしています。それを横目に見つつ、私たちはここで朝食タイムです。
8年前もちょうどこの時期に来た時はスカイツリーの姿がうっすらと見えたのですが、今日は低い位置に雲がわいていてよく見えません。日が出たあと一気に気温が上昇したせいか、全体的に霞んでしまっています。もう少し秋が深まれば空気も澄んでよく見えるのでしょうが、こればかりは仕方ありません。おにぎりとお茶で朝食を済ませ、いよいよ歩きだします。めいも初めての場所は興味津々で楽しそうな証拠に、しっぽがあがっています。
しばらくは軽自動車が1台なんとか通れる幅の舗装路を歩きます。斜面に建てられた民家がぽつぽつとある中、ものすごく急な登りがあったりと、既に飼い主の息はあがっています。沿道にはビジターセンターや御嶽ユースホステルの嶺雲荘、茅葺屋根の東馬場という宿と軽食がとれる茅葺屋根の建物があり、そこを縫うように歩くのですが、素朴な山の集落という感じで歩いているだけで楽しめます。細い道を登りきると、いきなり左右に歴史を感じさせる商店が建ち並ぶ参道になり、その先には手水舎が見えてきました。
武蔵御嶽神社はおいぬ様という信仰もあり、犬連れの参拝者が多いのは犬の祈祷や健康祈願を祈ってくれるという事も犬連れが多い理由です。先代の子とここへ来た時は、犬と山歩きするのもひとつの目的でしたが、癌を患っていた事から治療がうまくいくようにと祈る事も目的のひとつでした。 |
|
めいに手水舎で犬用の水を飲ませたあと、急な階段を上り随身門をくぐります。階段はこの先も本堂まで続いているのですが、すぐに分岐の看板があり脇道が現れます。ここから折れると本格的な登山ルートになり、ロックガーデンへのアプローチに入る事ができます。 |
しばらくは幅もある砂利道で、時間をずらしたせいか誰も視界に入ってきません。森の中ですが、耳を澄ますと前後遠くで話し声が聞こえるので、比較的近くに人はいるようでした。きっと同じ始発のケーブルカーに乗ってきた人たちでしょう。 |
ほどなくして大き目の分岐が現れます。左手には小さな休憩テーブルセットが何か所かあり、直進方向の正規ルートよりも広い道が伸びています。この先は展望のよいビューポイントでもある長尾平がありますが、往路なので私たちは停まらず直進します。
長尾平への分岐を越えてほどなくすると、ロックガーデン方面に向かう細い道の分岐が現れます。左方面は狭く急な階段を降りていくのですが、犬連れでリードを短くしていると、転びそうになります。めいにゆっくりね、と声をかけながら下っていきます。ここからはさきほどの道幅の半分以下の狭い道です。 |
|
杉林の中の斜面を通る道は、まだ日が差し込んでこない薄暗いルートです。左手は急峻な崖になっているので、めいのリードをしっかり持ちなおします。ルート上は大雨により道がえぐられたのか、地面の下を這う木の根が露出している所がしばらく続きました。根に足をとられて捻挫でもしそうです。それを避けようとすると必然的に崖ぎりぎりを歩く事になるため、少し気を付ける必要があります。 |
次のチェックポイントは天狗岩です。大きな岩が目印で、ここを左から合流してくる道は、七代の滝を経由してくるルートです。ただそちらは犬連れには厳しい急なアップダウンがあると聞いているので、私たちはまだ未踏です。岩の横は小さな切通しのようになっていて、そこを抜けるとまた一気に急な階段を下ります。ここも犬連れの人は気を付けないとなりません。私はめいを抱っこして、一歩一歩ゆっくりと下りました。
|
しばらく行った先の川を渡る少し前に、また少し急なルートがありますが、そこを越えるともうロックガーデンは目の前。森の中には倒木や石の表面は苔がコーティングされていてメルヘンの世界にワクワクします。 |
ロックガーデンは流れている川を上流に向かって歩くルートですが、川に沿ってルートが右岸と左岸に交代しながら伸びています。川を渡る場所がたくさんあり、そこは跳び石や木の橋を渡りながになるのでなかなかワイルドです。犬によっては石を飛び越えるのが怖い子もいるかもしれませんが、抱っこすれば問題ないでしょう。ただ飼い主も滑るので気を付けないとなりません。またガレた岩場もあるため、足首を痛めないように一歩一歩気を付けて歩くのがよいでしょう。 |
実は私は今回久しぶりに履いた古い通勤用のメレルのジャングルモックだったのですが、アッパーの皮が弱っていて足が靴の中で前後に少し動き、歩きにくい状況で軽登山靴で来るべきだと少し後悔していました。そんな状況なのに写真を撮るために川に降りたりしているうち、危惧していた通り右足を捻って痛めてしまいました。しばらくひどく痛んで動けなくなるほどでしたが、なんとか我慢して歩かなければなりません。
|
ロックガーデンの中盤から日差しが差し込んでくるようになり、川面と紅葉の木々が一層輝きだします。足さえ痛くなければと思いつつ休み休み歩くと、めいはちゃんと待ってくれています。既に飼い主は暑くて来ていたライトダウンは脱ぎ、腰に巻いている状態で、山シャツも袖をめくるほど。しっかりと運動不足の身体にはよい運動になっているのを実感します。 |
やっと休憩ポイントである東屋が見えてきました。誰もおらず貸切です。まずはトイレ休憩ですが、なかなかワイルドな状況でした。紙はあったのですが、扉を閉めるのは度胸がいります。めいが近寄らないように飼い主は交互に用を足し、あらためてまとまった休憩を取る事にしました。 |
東屋とトイレの下には木製の大きなテーブルとベンチセットが数点配置されているのですが、私たちがそこで休憩をとっている間に、若いソロの方と年配の男性2人組の方が追いついてきました。めいはそのどちらの人たちにも寄っていってご挨拶。みなさん可愛がってくださり、とてもご満悦のようでした。しかし実はみなさんが食べているものを狙っているだけだったりします。 |
20分ぐらい休憩したあと、足の痛みが少し落ち着いてきたので出発します。記憶ではこの先すぐに滝があったはずですが、なかなか現れません。休憩場所からはゆっくりと登っていくルートになるのですが、日差しも差し込んでくるようになり、森の中や川の水はとてもキラキラしていて気持ちのよいハイキングになりました。足も無理しなければなんとかなりそうです。
綾広の滝に到着。質素な鳥居があり神聖な雰囲気があります。実際ここでは御嶽神社の滝行にも使われるようです。ここで後ろから外国人の2人組とさきほど東屋でご一緒したソロのお兄さんに追いつかれ、しばらく私たちは退避。ほっておくと滝壺に泳ぎに入りそうなめいを抑えつつ、邪魔にならないように空いてから写真撮影をしました。 |
ここは谷間になっているので薄暗く、上方の水が流れ出るあたりは日が当たって眩しいぐらいの明暗差があります。ひといきついてからいよいよ急登の階段です。ここからは滝を見下ろすぐらいの高さまで登っていくのですが、一歩一歩の階段の段差が高く気を付ける必要があります。片方は崖なので、めいをしっかり誘導しながら登っていくと、少しゆるやかなルートに出ました。 |
ちょうど滝の上を迂回していくようなルートは、そこはもう日が差し込んでいて、先ほどまでの幽谷の雰囲気とは一変します。まもなくまた別の東屋が見えてきて、そこは大岳山・鋸山方面と御岳神社方面、そして私たちがあがってきたロックガーデン方面との3差路になっています。時間的に10時をまわったところなのですが、東屋には大きなザックを背負ったこれから山に登る人たちが数人休憩していました。 |
私たちは御岳神社方面へ戻る方向に歩きます。ここからは道幅が比較的広く荒れてもいない、なだらかななアップダウンが続きます。めいも余裕が出てきたようですが、さすがに先ほどの険しいルートを越え、気温もあがってきていてお疲れ気味。のんびりと3人で森林浴を楽しみながら歩いていきます。 |
ときおりまだこれから山に登ると思われる方々がすれ違います。やはり年配の方々が多く、みなさん私たちよりはるかに元気です。マスクをしている人もいれば、していない人もいますが、私たちはすれ違う時だけマスクを付けるようにしました。 |
往路でロックガーデン方面に下った分岐に戻ってきました。ここからは朝通ったルートを戻る感じになります。ほどなくして長尾平への分岐に出たので、少し悩みましたが今度は寄ってみる事にしました。ピストンルートで行って戻ってくる形になります。 |
ここではすれ違う人が大勢おり、みなさん長尾平での眺望と休憩が目的のようです。展望ポイントではあまり紅葉はよく見えず、気温があがったせいで霞んでいるのも理由のようでした。それよりも途中にあるヘリポートから見る大岳山の山腹が綺麗な紅葉を見る事ができました。 |
来た道を戻って御岳神社へ向かいます。しかし参道に出る直前、なにを血迷ったか急登ルートに入ってしまいました。あまりに狭く急な上、神社から降りてくる人も大勢いるので、ちょっと失敗です。めいを抱っこして人が通る時は避けながら登ります。ただここを通らない場合は参道の階段を上る事になってしまうので、どちらがよいかの判断は難しい所です。なんとかショートカットで境内に到着。そこは大勢の参拝客でにぎわっていました。 |
ここでは神符授与所で犬形代を買い、「めい号」と名前を書いてもらって、その紙を犬の体にすりつけながらお祈りをします。先代のくーでも同じ事をやったなと思い出しつつ、めいはちょっと最近左足を痛めたため、まずそこを重点的に撫で、あとは頭や腰やおなか、胸などをまんべんなくすり付けて健康と長寿を祈ります。そして最後に神符授与所にその犬形代を渡し、祈祷をお願いしました。
最後に拝殿に並び、家族揃ってあらためて参拝します。怪我や病気がないように、長生きしてくれるようにと、自分たちの事よりもめいの事を願う飼い主でした。この周辺は混雑している事もあり、早々に山を下る事にします。ここで他の犬連れの人に階段ではなく女坂という坂の迂回ルートがあるのを聞き、そちらで降りてみる事にしました。 |
しかしこちらの坂も結構な斜度で、つま先が痛くなっている私にとってはなかなかきつい下りでした。それでもめいに階段を下らせるよりははるかによいので、我慢します。どうやらここは関係者が軽自動車で上がって来るルートでもあるようです。 |
朝、手水舎でめいに水を飲ませた場所に戻ってきました。あとは朝は閉まっていましたが今は半分ほど営業開始している商店街のある参道を抜け、ケーブルカーの駅まで下ります。時間は11時半をまわったところですが、まだまだ次々に人がやってくるのに驚きました。みなさん山やロックガーデンに行くのではなく、神社が目的地なのでしょう。途中の民家で犬のおやつを無人販売で売っていたので購入。100円でした。 |
御岳山駅に着くと、すぐに下りのケーブルカーが出るそうなので、あわてて乗り込みます。11時50分発で下山です。車両の進行方向最後尾が犬の場所なので、今度は行きと逆の最も高い視点の席に座りました。他の乗客は5人しかおらず、みんな先頭に集まっています。めいは動きだした途端、疲れましたと言わんばかりに転がってしまいました。 |
滝本駅に到着して駐車場を見ると、見事に満車です。車の中は夏のように熱くなっていて、しばらく換気をして冷やしてから帰路につきました。駐車場の出入口には満車のため入場待ちの車が10台ほど並んでいます。今日は金曜でこの混み方なので、明日明後日の土日は大変な事になるでしょう。紅葉の見頃という事もあり、山であっても密を避ける事は難しいのではないでしょうか。
日帰りでしたが飼い主も犬も長めの散歩をしたので、明日はきっと身体が痛い事でしょう。たくさん知らない場所を歩けて満足なめいは、帰りの車では爆睡でした。
(旅行日:2020/11/13(金)) (2020/11/26掲載) (埼玉県、Yさん) |