前回ロッジ クルトさんにお世話になったのは5年前の秋でした。秋とはいっても夏の終わりで、紅葉には早く、正直中途半端な季節でもありましたが、清里の良さは冬にありと常々思っている私たちは、今回やっと冬に訪れる事ができました。 当時から比べると車も新しくなり、といってももう1年半ちかく経つのですが、カーナビはCDからHDDになりました。そして驚くことに、クルトさんが最初からデータとして登録されています。前回は住所からだとはっきり行先設定ができなかったのですが、今回はまったく問題はありません。 夕方明るいうちにチェックインしようと思い、16時すぎに現地到着。5年前の記憶が蘇ってきます。 車をまん前に停めた所で、オーナーご夫妻が出てきてくださいました。オーナーの旦那さんは、5年の間に大病をされていて、日記などでそれは知っていたのですが、今は完治されて元気そうです。我が家もその間にくーが2度も骨折して旅行を断念したりと色々ありました。 まずはくーを車から下ろし、ご挨拶も兼ねてチェックインの手続でフロントに入ります。くーは大喜びでオーナーご夫妻にご挨拶。くーをかわいがってくださいました。 犬の話から、アジリティやディスク競技の話、そして近所のご友人の方がボーダーコリーの若い子を連れて散歩の途中に立ち寄られ、そのまま会話が弾んで賑やかでした。トレーニング中との事ですが、すごくおりこうな子で、最初くーは機嫌悪そうでしたが、そのうちに近寄っても平気になって慣れたようです。 |
クルトさんは近所の犬を飼われている人の交流の場でもあるようでした。これもオーナーの人柄と、犬に対するしっかりされた姿勢からくる信頼があってこそでしょう。そんな犬たちを見ながら、ああだこうだと色々な話が弾む人々。こういう時間も旅の醍醐味です。
今回はドッグランがある側の棟の、フロントの横の部屋を案内して頂きました。部屋に入る前に、オーナーより湯たんぽを2つ、貸して頂きました。今のうちに布団に入れておくとよいと言われましたが、日中があまりに温かかったので、この時それほど気にしてはいませんでした。 |
建物は平屋で、2部屋ある建物のユニットが3つ並んでいるといった形でしょうか。部屋は広く、クイーンサイズのベッドが2つに、小さいテーブルと椅子のセット。それ以外の何もないスペースが半分以上を占めていて、大型犬でも安心して泊まれる感じです。フローリングも滑りすぎない感じで、出入り口の脇には足洗い場と靴を置くトレーがあり、バリアフリーになっています。 建物の間をつなぐウッドデッキも、足が汚れない工夫がされています。犬の足を拭くタオルが、出入口の横の傘立てにかけられている心遣いも嬉しいものです。 着替えと地図や飲み物が入っているトートバックだけを運び込み、湯たんぽを布団に入れて、風呂と夕食の用意をして日が暮れて真っ暗になった中、出かけました。 お風呂は一番近い日帰り温泉の「たかねの湯」へ。駐車場は結構な車の量です。殆どが地元の人のようですが、立派で昼間だと景色がよい湯船でゆっくりと体をほぐします。泉質はそれほどクセはありませんが、ほんのりと色がついていました。露天がないのが少々残念でした。 湯上がり後、マッサージチェアでいつものように体をほぐします。旅に出ると必ずコインマッサージチェアのお世話になります。このあたりには他にも数件日帰り温泉施設があるようなので、選ぶのも楽しいでしょう。 |
くーが待っている車に戻り、真っ暗な道を若林交差点方面へ向けて走ります。地面にはまったく雪はないですが、標高は高いので油断は禁物です。特に日が落ちてすぐや、早朝などは突然道路状況が変化する事が珍しくありません。地元の車は飛ばしますが、あわてず安全な場所で先に行かせて、ストレスを回避しましょう。 夕食は友人と待ち合わせをした魚ZENZOWさん。清里でこれほどまでに新鮮な海産物が食べられる場所は他に知りません。犬談義に花をさかせながら、2時間半ほどかけて、おいしい料理をつまみながら清里の夜を楽しみました。 |
くーは飼い主が食事の間、ずっとクレートで待っていたので、食後外をひとまわり。友人と再会の約束をし、お別れをしました。旅先でこういうイベントがあると夜が楽しいのですが、食事がついた宿だとこうはいきません。宿で料理を楽しむのもひとつの醍醐味ですが、キャンプや車中泊をする私達にとって、宿はゆっくりと体を伸ばしてリラックスした夜を過ごしたいからというのが一番の目的です。 クルトさんのようなB&Bで、かつ手頃な宿泊費用の場所があれば、喜んでそちらを選んでしまいます。その土地のおいしいものを食べるには、一般的なコース料理ではなく、地元のお店だと思っています。それでもたまには宿の料理でゆっくりする事も使い分けて、楽しい旅をしたいものです。 宿への帰り道もナビがあれば安心。便利になりました。21時半に宿に戻り、満腹で布団にもぐり込むと、湯たんぽのほんのりとした暖かさが冷えた体にしみました。妻はすっかり湯たんぽが気に入ってしまい、帰ったら買うぞといいながら夢の中へ。くーはごそごそとクレートの中へ入っていきました。 |
カーテンの脇から少しづつ白んでくる空が見える頃、目を醒ましました。結構冷えているようで、鼻の頭が冷たく感じます。ごそごそと起き出し、冬用にと入れて頂いている石油ファンヒーターを着火し、エアコンも入れて急いで布団に戻りました。くーが起きてクレートからこちらを伺っていますが、また布団にもぐり込んだ私を見て、ため息をついてまた丸まりました。 7時前になって部屋が暖まった頃、起き出しました。カーテンを空けると真っ青な空です。窓の向こうに雪を抱いた南アルプスの山並みがよく見えました。冷え込んでいるのがそこからでも判ります。 |
着替えてくーを排泄させてからドッグランに出し、その足でフロントへ。7時からパンとコーヒーと紅茶が用意されています。コーヒーは豆がセットされているので、電源を入れるといれたてが飲めます。パンはオーブントースターで軽く焼いて、部屋に持ち帰り、日差しが差し込むテーブルで朝食です。 体が暖まって、歯を磨いたり顔を洗ったりしたあと、今日の予定を確認した上で、荷物を車に積み込みました。お世話になった部屋をもう一度チェック。こちらはごみの持ち帰りがルールになっています。 |
キャンプや車中泊の時もそれは当然の事なので、私達としては気になりません。それよりも快適な一夜を快適な空間で安く提供してくださる事への感謝の気持ちの方が大きく上回っています。旅人は旅先で跡を濁すのではなく、前に来た時よりも美しくする事が基本である事を思い出させてくれる、よい機会かもしれません。 チェックアウトの時に、またオーナーと話し込んでしまいました。車の話や犬の話、そして多頭飼いにまつわる色々な話など、いづれ我が家も2頭目を迎えるにあたり、温かいアドバイスを頂きました。 昨今、犬連れの旅行者の中にもモンスターなんとかというのが増えてきているようです。ただクルトさんを選ぶ人なら、きっとここのポリシーに共感し、廻りにも配慮できるマナーとモラルを持ったお客さんなのだと感じます。
(2009/01/23〜24宿泊) (2009/2/14掲載) (東京都、Yさん くーたら日記 Hill Breeze)
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