2月7日(日)
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陽もとっぷりと暮れ、おまけに雪も本格的に降り続いている中に、富良野から美瑛に向かって走っていました。今宵の宿はB&Bで予約をしているため、夕食は事前に富良野で済ませてあります。
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中富を過ぎ、上富を越えると一気に道が暗くなりました。美馬牛近くになってから左に折れ、街灯もない道をヘッドライトに照らされている狭い視界の中、住所を入れただけのナビを頼りに走りました。しかしさすが北海道。住所を入れても大雑把な場所しかわからず、付近でナビは終了。あとは地図上の道を確認しながらやっと看板を見つける事ができました。
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荷物やめいをクレートごと両手いっぱいに持って、玄関に入りました。すぐ横の食堂らしきスペースには明かりがついていて、この寒さの中なぜか窓が全開でした。誰もいないので声をかけると、しばらくして中から女性のスタッフが出てこられました。ご挨拶をしたあと中のカウンターでチェックインの手続きです。
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私たちが利用する部屋はいわゆる本館の2階。他に数棟コテージもあるようですが、2名+犬で宿泊する場合は本館が最もリーズナブルです。階段を上がると賑やかな声がする扉の横が私たちの部屋でした。室内にはベッドとテレビ、小さいテーブルだけで、洗面台もトイレも扉を出た外に共同のものがあります。荷物を置くと床が結構いっぱいになりましたが、さほど不便ではありません。まずはめいにごはんをあげてから、早々にお風呂に入る事にしました。
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お風呂はさきほどのエントランス横に貸切にできる形でありました。先客がいたので、ちょっとテーブルで待ちながら、食堂の片づけをするスタッフとしばし雑談。こちらは基本B&Bのようですが、夜はジンギスカンの提供ならば可能との事で、多くの宿泊客はそれを食べていたようです。食後の換気のために窓を開けていたという事でした。
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お話をしたスタッフの女性は、ここが気に入って内地から住み込みで働いておられるようです。また宿のオーナーもやはり内地出身の方だそうです。北海道、それも美瑛や富良野は内地から移住されてくる方が目立つ地だと思います。それは厳しい自然環境の中にもありあまる風光明媚な環境がそうさせるのでしょう。私自身も何度も道東に移住を考えて土地探しをしたぐらいです。またスタッフの中には台湾の方もいるようで、客層が海外の旅行者が多い事からも、ここで働く魅力と通訳としての役割もなせるよさがあるんだと感じます。
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お風呂は本館の近くに数軒建つロッジのお客さんも使うようで、お風呂から出てきたアジア系の二人組は外に出ていきました。それを見計らい私たちもお風呂を使わせていただく事に。
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脱衣場はそこそこ広さがあり、洗い場は2席。湯船も岩風呂になっていて比較的このクラスの宿としては大きい方のようです。静かにゆっくりと体をほぐし、汗をながして部屋の戻りました。
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左右の部屋の前にはスリッパがたくさん出ているので、2人組以上のグループがいるようです。しばらく話し声が聴こえていましたが、決して大声をあげる事もなく、めいも気にならないようです。あまり賑やかなのが得意ではない私たちは、ちょっと心配をしていたのですが、ほっと胸をなで下ろしました。
部屋の中で旅に必要な機器を充電したり、テレビで天気予報をしたりしているうちに眠気に襲われました。寝る前の大事なおつとめとして、めいを外に出て少し歩きました。先程まで降っていた雪もほとんどやみましたが、湯冷めしそうなので部屋に戻ります。その後もまわりからも気になるような声や音はほとんどせず、ツアーのような団体ではなく個人旅行者はマナーも経験も充分積んでこられているようでした。
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2月8日(月)
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朝です。犬連れの旅では寝る前と起きてからすぐにしなければならない事があります。ごそごそと着替えてから外に出てみると、見事に青空が広がっていました。そこそこ冷え込んでいますが、たいしたことはありません。昨日ずっと降っていた雪のため、庭の周辺はきれいに新雪です。すでに宿の方が大型のショベルカーでエントランスを除雪するため忙しく働いています。ふと自分の乗ってきた車をみると、ハンドルが切れないほどタイヤハウスが凍りついていました。私はその氷を蹴ったり除雪用のスコップで削り落とします。
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一仕事を終えて部屋に戻ろうとすると、朝食はめいと一緒に取れる場所があるそうで、そちらでいただく事にしました。そこは薪ストーブのあるフローリングの座卓のコーナーで、リードフックも床に設置されていました。座卓という事で犬的にはちょっと顔をのばせばテーブルの上に届いてしまう環境です。このような場所を犬連れ客に提供してくださっているという事は、宿泊客もしっかりコントロールできていないと、信頼を裏切ってしまう事になりかねません。
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朝食はとてもしっかりしたハード系のパンにハムや野菜を挟んだサンドイッチ。小鉢の生サラダとまるごと1個のホイル焼きされたじゃがバター、みかんとヨーグルト、そしてコーヒーか紅茶という、ボリュームいっぱいのメニューでした。
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食後に台湾のヘルパーさんがやってきて、実家で飼われているコーギーの写真を見せてくれました。台湾は私たちも何度も旅してとても好きな国で、コーギー好きの方が多いのも知っていました。めいを可愛がってくださり、貴重だと言ってくれたしっぽを触って喜んでいただきました。
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話が盛り上がっていくに連れ、宿のミニシュナたちも出てきて大騒ぎ。普通の旅行者は何事かという顔つきで見ていますが、私たちはふたたび外に出て大運動会の再開です。普段から雪の中を走っている宿のワンたちに負けじと、めいも真っ白な世界をダッシュ。まだ朝ですが、すでに1日分の運動量を越えているぐらいです。
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宿の前には中庭やブランコがあり、美瑛の山並みを遠くに眺めながらゆっくり過ごせる環境になっています。晴れすぎて少し気温もあがってきたのか、遠くがもやってきました。目の前に道路は関係者以外しか入ってこない道のようですが、そこに出ていかなくても十分広いスペースが敷地にあるのもうれしい所です。
こちらの宿は特に広告活動はせず、SNSの口コミから伝わったお客さんがひっきりなしに訪れているようです。私が若い頃の宿といえばユースホステルや男女別相部屋の旅人宿ば主流で、宿の評判を口利きで聴いて広がっていったように、その頃の旅人ネットワークが、よい意味で今はワールドワイドなネットワークになっていっているように感じました。
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清算をして、せっかく晴れたので少しだけ美瑛の観光地を回ってから、今日の目的地へ移動を開始する事にしました。富良野美瑛エリアでは大事な犬連れ宿として、また利用したいと思っています。
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犬連れ宿泊ができる宿だった所が、気がつくと禁止になっている例が極めてたくさんあります。ぜひこれからこちらの宿を利用される方は、犬連れ宿泊を続けていただくよう、マナーの遵守だけでなく、まわりが気持ちよい旅の時間を過ごせるよう、気配りをよろしくお願いいたします。
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(2016/2/7〜8泊) (2016/4/4)(埼玉県、Yさん くーたら日記
Hill Breeze)
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