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[特集]長野と群馬の間で雪遊び

この冬3度目の旅。そしてこの冬の最後の旅。
今年に入って毎月雪遊びの泊まり旅をしてきましたが、雪遊びとして今シーズン最後のつもりで、2泊3日の旅をする事にしました。
新しい家族である2歳のめいは、我が家にやってきて3ヶ月弱。それまで宿に泊まるような旅はした事がなかったはずですが、驚くほど早く順応してきているように感じます。まだまだ基本のコマンド習得は難しいようですが、慌てずゆっくりと楽しみながら、コミュニケーションを取りつつ関係を作り上げていこうと思っているので、この旅もある意味ひとつの学習の時間と考えています。
3月になり日に日に暖かくなっていくのを肌で感じる中で、まだ冬としてのコンディションがよさそうな旅先を探しました。もう雪もパウダーは望めないので、ガツガツとアウトバックツアーをするのではなく、散歩の気分で長野北部からいつもの群馬北部にかけてをコースに定めました。


・2015年3月12日(木)


所沢ICから6時前に関越自動車道に乗り、一路上信越道へ走らせます。先日雪と雨対策として、ワイパーをBOSCH製に換えた事もあり、同時に撥水ガラス加工をしたのでその効果を見たかったのですが、雨は降りませんでした。
藤岡JCTから上信越道に入り、まずは横川SAで軽く休憩。時間は7時すぎなので、前評判を聞いていたベーカリーでパンを買い、保温ポットにいれてきたハーブティーとコーヒーとともに車中で朝食にしました。食後にめいをクレートから出し、狭い緑地しかありませんがとりあえず朝の散歩です。
ベッカライグリュック(上信越自動車道横川SA下り)

少しゆっくりしすぎてしまい、再度高速に戻ります。一路長野市へ。小諸あたりから山は雪雲にすっぽり覆われているのが見えました。気温も下がり車外で2度。晴れ間も一部見えますが、天気予報では雪がちらつくとの事でした。
長野ICで高速を降り、平日のためか通勤渋滞に巻き込まれながらも、9時半に善光寺の北側にある駐車場に到着。まだ10台ぐらいしかおらず、比較的スペースが取れる角地に停めました。来月から7年に1度の御開帳があるようなのですが、今は静かなものです。雪がちらついている天気の中、参拝開始です。
善光寺
ところどころ修繕工事中の境内、めいを連れてゆっくりと歩いていくと、正面に出ました。存在感のあるすばらしい建築の本堂です。ここは犬連れでも抱っこなら本堂にも入れるという所です。近くの公園の入口には、犬連れで通過する事すら許さないという看板が堂々と立てられている中で、とても貴重です。
先代犬のくー用に作ったスリングを出し、私が妻の荷物をすべて持ち、めいをスリングに入れて抱き上げて、本堂の階段を昇りました。そこは外陣と呼ばれる空間で、薄暗い建物の中、びんずる尊者や閻魔の像などがあります。内陣との境にある改札から先は有料かつ犬連れでは入れないので、本当はお戒壇巡りをしたかったのですが諦めました。とはいえ本堂の建屋の中に抱っこであっても同じ生き物でもある犬と入れる善光寺はすばらしいと思います。
以前ダライ・ラマ法王14世が来日された際、砂曼陀羅でお迎えしたという善光寺。ネパールやチベッドを旅した私たち(正確にはチベッドは妻だけですが)は、とても親密感を感じます。ブータンなどもそうですが、今後私たち夫婦が行ってみたい国の殆どが仏教徒の国なのは、偶然ではないのかもしれません。
参拝を終えて、あらためて参道を歩いてみました。次々と観光目的なのかもしれませんが参拝者がやってきています。それと逆行するように、巨大な山門からわらじが供えられている仁王門まで続く仲見世通りをゆっくりと歩きました。お店はまだ多くは閉まっていましたが、写真を撮りながら歩いているうちに、少しづつ賑やかになっていくのを感じました。
りんごのおやきを買って食べたり、ポーズを取って撮影したりしつつ、再度本堂を経由して駐車場に戻りました。およそ1時間強うろうろしていた事になります。めいはまだ撮影時の待てやポージングの意味がわかっていないので、撮影する方も大変です。時折まわりからカワイイと声をかけていただいて、妻もご満悦でした。
今度は昼食です。善光寺からほど近い回転寿司屋に入ると、時間がまだ11時半という事もあり、最初の客でした。ここはある年から大手チェーンに買収されてしまったお店ですが、日本海は氷見漁港から仕入れている魚が出る事から、ちょっと期待していました。
きときと寿司・ 長野店

犬連れだと手早く好きなものだけを食べて出て来られる回転寿司店をよく利用します。日陰が少なくても路肩には雪も残る気温です。少し窓を開けておけば安心して車から離れられるのですが、これが夏になるとそうもいきません。春先でも結構厳しい日があるので、1階が駐車場で2階が店舗でなければならないなど、車を停める場所を選ぶ事になります。
美味しそうなものだけをつまんで人間のお昼ごはんは終了。また何か足りなければどこかでお茶すればよいのです。食事を終え今度は温泉街へ向います。
途中来週開通予定の北陸新幹線の真新しい橋脚沿いを走りつつ、目的の湯田中渋温泉郷に到着しました。いたる所で湯煙があがっていていい雰囲気です。建物の全体的なまとまりはないかもしれませんが、ファインダーのフレームに切り取ってみると風情の残る古い温泉街なのがわかります。今回はここでゆっくり散歩をする事にしました。
ここ渋温泉は1300年前に開湯したといわれている歴史のある温泉街です。武田信玄の隠し湯というといたる所で聞かれますが、このあたり一体は湯田中渋温泉郷と言われ10の温泉街を含めた総称のようです。
町営の駐車場に停めると、外湯めぐりの中での最終9番湯、大湯に入る権利を貰えます。その他は宿泊客のみという制限がありますが、犬連れで泊まれる宿が限定される事からなかなか外湯めぐりというのは実現できないでいます。
調べた所、渋温泉にも犬連れ宿泊が可能な宿があるようでしたが、めいはまだ和室への宿泊が心配なので、今回はここから少し離れた所に泊まる予定になっています。本当は夜の温泉街が一層雰囲気はあるのですが、いずれの宿題としました。
大湯の入浴の手続きをしようと思ったのですが、ちょうど駐車場の窓口は昼休みにかかっているようで誰もいません。という事は鍵も借りられないので、とりあえず昼下がりの古い温泉街をぶらぶらする事としました。
わざと車が通れないような狭い路地を歩いて、写真を撮ったりしながらうろうろ。側溝などいたる所に湯気があがっていて、町中も雰囲気があります。歴史を感じさせる金具屋や大湯の前で記念撮影をしたり、渋薬師庵への急な階段をめいは駆け上がり、途中の民家のおばあさんとお話をしたり、対面にあるお湯掛け和合道祖神脇の足湯のふとまるで温泉をペロリとしたりと、静かな午後の渋温泉街をにぎやかに散歩しました。
渋温泉 金具屋

草津のように温泉饅頭の店はあるのですが、客引きは0でした。私たちものんびりできました。風情のあるラーメン屋や、ゲームセンターなどはまさに昭和。見事なタイムスリップぐあいです。
最後に渋温泉の提灯がかかった橋と、駐車場前にあるゆるキャラしぶざるくんと記念撮影。私たちも温泉につかりたくなりました。目星をつけていた日帰り湯へ向います。
ここからちょっと走った所にある、山田温泉の大湯に寄るか、子安温泉に寄るか、はたまたもっと山奥にある七味温泉に寄るかと悩んだのですが、宿へのチェックイン時間を考えて少し近い方を選んで子安温泉にしました。ここもなかなかの秘湯です。
子安温泉

お湯の色は少し鉄色に近いようで濁っておりいい感じです。白濁の硫黄泉が一番好きなのですが、こういうのも温泉に入っている気分が高まります。ここは地元の方で人気があるようで、一度は廃業の話もあったようですが、建物も改装されて存続しています。この日女湯の方からは大声がひっきりなしに聞こえてきていましたが、妻に訊くと毎日きている地元の人が一緒だったそうです。風呂上がりにはコーヒーか日本茶をいただけるサービスもあり、のんびりできました。ただここで頭を洗うのはちょっと気が引けたので、もう1箇所の一般的な日帰り湯にも寄る事にしました。
須坂の町はずれにある湯っ蔵んどという、大規模クアハウスに寄りました。泉質は正直な所特徴のないものでしたが、露天があるだけで旅気分も盛り上がります。空は薄曇りですでに夕方になっていますが、外はいいものです。ジェラートを食べて、ちょっとした買物をしつつ、いよいよ宿へ向うため山越えです。
湯っ蔵んど

標高をあげていくにつれ、雪が路肩にしかなかったのが日陰のコーナーには全面と増えてきた頃、後部座席にめいと座っていた妻が声をあげました。ある広いヘアピンカーブの斜面に黒い物体がいたのです。妻は始めてみたそうですが、それはニホンカモシカでした。普通の鹿と違ってウシ科に属するため、あまりかわいいものではありません。私はあとしらびそ高原や乗鞍などでみかけた事があります。
思わず写真を撮っていると、めいが低く吠えました。警戒吠えというものでしょう。テレビでもカピバラやゾウなどが大映しになると同じような吠え方をしていました。大きい吠え方ではないのですが、怖いのでしょうか。あまりひどくならないうちに車を進めました。
やがて菅平に入り、平日ですが学生のような出で立ちの若い男女がポツポツとスノーボードを抱えて路肩を歩いていました。彼らも引き上げの時間なのでしょう。追い越す時は徐行しつつ、対向車がないのを確認しながらセンターラインの上を走ります。
菅平の中心T字路前にはセブンイレブンがありました。事前にないと思っていたので、山に登る前に須坂の町中のコンビニで、夜のお茶などを買っていたのですが、ここにもあったようです。
中心を越えてしばらく進むと、看板が複数ある中で、今夜泊まる宿の名前を見つけました。時間は16時45分。もう少しすれば夜の帳が落ちてくる事でしょう。今日はお初の宿、カーロ・フォレスタ菅平カゾラーレに泊まります。
駐車場に車を寄せていると、さきほどまで青空が見えていたのに雪がパラパラと降り出しました。チェックインしたあと、今日は移動が多かったのでと、雪がたっぷりあるドッグランでしばらく雪遊びをしました。


・2015年3月13日(金)


快晴の朝、菅平らしい緊張感のある空気が漂っていました。朝食前に宿のドッグランでウォーミングアップをし、チェックアウト後アドバイスを貰った菅平牧場へ向います。
年始にコギ友が菅平でスノーシューをしたとの事を聞いていました。調べると、いつのまにかスノーシューマップまで上田市が配布しており、観光に力を入れているように思えました。また宿主からも情報をいただいていて、楽しみにしていました。
菅平牧場は、夏場はゲートから通行料を取られる私有地でもある観光地です。冬は雪に閉ざされていますが、根子岳などへの登山ルートにもなっているので、問題なくアプローチに入れるものと疑っていませんでした。
菅平牧場スノーシュー
(上田市ホームページ)
ゲートをくぐり、突き当たりの駐車場や冬期閉鎖されているトイレなどがある場所までは問題なく到着したのですが、車を停められる場所がありません。駐車場と思われる場所は、あえて除雪していないように思える感じでした。しかし除雪されている先にある根子岳への登山口には県外ナンバーのSUVが1台停まっているのが見えました。きっとすでに山に入っているのでしょう。
どこから取り付けられるか調べていると、向こうから除雪用のトラクターがやってきました。運転している方にルートを訊くと、ここは私有地だから進入禁止の一点張りでした。市のマップにもコースとして紹介されていると言っても知らないとの事。追い出されてしまったのでした。上田市と登山ルートや観光マップに書いてある事は、地主が許可していないコースを紹介していたという事のようです。がっかりしつつ、撤収しました。
仕方がないので、毎年のように行っては撤退している村上山に行ってみる事にしました。菅平から山を下り、群馬県は嬬恋村へ入ります。まだまだ畑は一面の雪ですが、季節は確実に春に向っているのが感じられる日差しです。
鹿沢高原に入り、休暇村に向かいます。この場所はくーと毎年雪遊びに来ていたエリアです。そして村上山の登山ルートでもあり、冬期はスノーシューで行けるのはわかっているのですが、その時の雪の状態や天候でこれまで3度、途中で撤退しているという苦い思い出のある地です。初心者コースといわれるルートですが、ラッセルが続いたり、突風で進めなくなったりして登頂には至っていませんでした。
鹿沢園地
今回もこれだけ暖かくなってきていて、雪も重くきっと無理だろうと思っていたのですが、思いのほか雪の状態はよく、おまけにトレースができています。2人がそれ以上のグループが、少なくとも数時間前に取り付いたような跡だったので、私たちも行ける所まで行ってみようと、下だけゴアテックスのカッパをはき、軽登山靴に履き替え、スノーシューを装着して歩き始めました。しかし今回は軽いハイクだけを考えていたのでストックは持ってきていません。
のぼりが続くルートを歩いていきますが、運動不足な私たちはすぐに休み休みになってしまいます。写真を撮りながら、それでもめいは元気に新雪の横道にそれながら楽しそうに歩いていきます。2ヶ月前にこのあたりにやってきた時は、深い新雪とあまりの寒さだったのか、何度も固まっていました。そのような雪は未経験だったので無理もありません。トレース以外を自ら歩くなんて事もほとんどなかったのですが、3度目の雪山ではすっかり慣れてきたようです。
これまで最も進んだと思われる杉林の真っ直ぐなルートに出ました。その時は膝下までの新雪でずっとラッセルしながらだった事から、ここで時間切れになってしまいました。およそここで頂上までの半分、時間はまだ11時です。トレースもあるので今回は順調に高度をあげていきました。
確か途中に東屋があるという事で、そこまでは行ってみたいと思っていましたが、結構なしんどさに私も妻も根をあげつつありました。あそこまで行ったら、そこの視界が開ける所まで行ったらと、少しづつ進んでは終点を先に延ばしていきますが、日陰の急斜面で冷たい風が抜ける場所があり、そろそろ潮時かと私から帰ろうと妻に声をかけました。
妻もほぼそれに同意したようですが、もうちょっと先まで行ってみようという事になり、やっと浅間山が木立の中から見えるポイントまで出ました。そこは風がここだけは通らないのか木々の枝に雪が積もっていて不思議な白い世界でした。幻想的でそこを終点にしようと腰を下ろし、お茶を飲んで大休憩をとりました。
10分近く休んだ所、少し体力が戻ったからなのか妻がもうちょっと行ってみたいと言い出し、ほんの10数mほど進むと大声をあげました。東屋が見えたのでした。そしてそこで休憩していると思われる人影も見えました。もうそこまで行かない理由はありません。
東屋からは女性の声で犬がいるという言葉が聞き取れました。驚いたのでしょうか。それも短足犬のめいです。がんばって雪をかいて進み、みなさんに撫でてもらいました。年配のパーティで、男性ガイドのようです。他に女性が5〜6名ほどいるようでした。あと10〜15分で頂上だよと言われ、私たちも覚悟を決めました。
ご挨拶をし、いよいよ最後の登りに入ります。さっきまではもうヘトヘトでしたが、もう少しと聞いて不思議と力が沸いてきます。そしていよいよ木立の間から碑のようなものがちらりと見えました。そこが山頂だという事は、わかりやすい現実でした。
山頂から嬬恋方面の視界が開け、浅間山も微妙に木に隠れていました。それでも絶景で、やっとここに来れたという気持ちでした。くーも私たちのネックレスの中に一緒にいます。みんなで登頂できた事がとても嬉しかったのでした。
写真を撮ったりしている時、ふと時計をみると時間が予想以上に経っている事に気がつきました。今度は早足で下山です。下りは圧倒的に楽ですが、私の左足の付け根に鈍痛が出てきて遅れがちになります。それでなくても写真を撮りながらなので、ちょっと真剣でした。
何とか車にほぼノンストップで戻り、スノーシューも雪がついたままトランクに放り込み。遅い昼食に向いました。予定していた食堂は14時で一旦終了するためですが、そこからそれほど遠くないのでなんとか昼の閉店15分前に到着。めいはクレートの中で休んでもらって、飼い主だけ素朴な塩ラーメンと豪華なあさりラーメンで昼食です。
けんちゃん食堂

やっとおなかも落ち着いてお店の外に出ると、さきほど頂上に立った村上山が見えました。たいした高さではないのですが、私たちにとっては4度目の正直でした。
今度はまた今来た道を戻って温泉に向います。くーと一緒にこのあたりに始めて雪遊びに来た日に入った温泉、鹿沢温泉紅葉館です。その当時から比べると建物が一新され、入口も旅館側ではなく蕎麦屋の方から入るように変わりましたが、お風呂はそのままでした。鉄分を含む湯の花とうっすら濁っている、熱めのいかにも効きそうなお湯です。私たちだけしかいないので貸切でした。汗を流し、ゆっくり首から肩を暖めます。
湯上がりでTシャツ1枚でも外にいられるぐらい暖まった私たちは、村上山登頂を果たし、達成感と疲労感のため、いつもはもう一遊びという時間帯ですが、早々に今日の宿へ向いました。北軽井沢の道はいたる所でアスファルトが剥がれていて、側道に残雪と溶けてどろどろになっているので、乗り心地よりも走破性重視の我が家の車内は大暴れしながら、別荘地の中を走りました。
定宿でもあり、2ヶ月前にも泊まった宿、Restrant & Stay 花闊歩さんに到着。奥様がお迎えしてくれました。勝手知ったるお部屋に今日もお世話になります。人気のお宿ですが、私たちが泊まる日は混雑する日をあえて外しているせいもありますが、貸切の確率が極めて高いです。私たちのためだけにいろいろ用意いただくのは心苦しいですが、何よりもオーナーの料理が楽しみなので、毎年利用してしまいます。
Restaurant&Stay 花闊歩
今宵もおいしいイタリア料理で満腹。ゆっくり体を休めました。


・2015年3月14日(土)

朝はいい感じに冷え込んでいました。昨日溶けていた道もバリバリに凍っています。朝食をいただいたあと、宿の犬たちとしばし遊びました。めいはくーと違って、犬同士でもまったく問題なく仲良くできます。めいからけしかけて、コーギー・カーディガンのひづめちゃんと一緒に走り回っていました。朝っぱらから充分に運動したようです。
ご挨拶をしてチェックアウト。もう充分走っためいですが、せっかくいただいた優待チケットを持って、ドッグバケーションというドッグランとカフェが一緒になった施設に向いました。これまで花闊歩さんには何度もお世話になっているのに、今年始めてこの施設を利用したのですが、予想以上によい所だったので今回も立ち寄りました。
ドッグバケーション

オーナーの女性にお出迎えいただき、誰もいないドッグランに出ました。2ヶ月前は一面雪でいい感じだったのですが、随分溶けてしまっていました。それでも土ではなくウッドチップが撒かれているので足はよごれません。芝生と残雪の広場をめいはうろうろ。見えるはずの浅間山は雲にうっすらと隠れてしまっていました。
ほどなくしてハスキー2頭連れの一家がやってきました。くーだったら撤収するぐらいの雰囲気だったのですが、めいは大型犬にもたじろぐ事もなく、平然と一緒に遊んでいました。
めいの運動はもう十二分という感じになったので、今回の旅の最後の温泉に向います。いつもの温泉ではなく、ちょうど4年前のあの日、東日本大震災の3月11日の朝に花闊歩さんをチェックアウトし、立ち寄った温泉に向う事にしました。今日は3月14日なので、同じ週末です。あの日は温泉に立ち寄ったあと、昼食を中之条の和食店でとり、渋川伊香保ICに向っている途中、渋川市の県道上であの地震に遭遇しました。車が踊りだし、車のすぐ横にある家のコンクリートブロックが崩壊していくのを、状況がわからずに見つめていました。
あれから4年。くーは旅立ってしまい、めいがやってきたように、時間は流れていきます。自然災害は災害ではなく、宇宙のライフサイクルの中ではほんの一瞬のゆらぎのようなものです。私たち生き物は、それに対して無力なんだという事を、つくづく思い知らされます。だからこそ出会って一緒に旅をして、精一杯その時間を楽しむ事が大事に思えるんだと思っています。
四万温泉までは単調な移動です。前回は金曜日だったせいもあり空いていてとても快適でしたが、今回は土曜日。四万温泉の中の観光バスの量といったら、驚くばかりでした。町営の無料駐車場に停めるのもひと苦労でしたが、まずは温泉に入る事にします。場所は当然、あの積善館です。
四万温泉 積善館
4年前は1000円/人でしたが、今回なんと1200円/人になっていました。ちょっとたじろぎましたが、せっかくここまで来たので入る事にします。あの地震でもこの建築物は無事だったというのも感心しますが、他ではみられない美しい建築でもあるのでぜひ保存するだけでなく、入浴もできるようにこれからも運営していっていただきたいと願います。そのための値上げなら致し方ありません。
浴室内の写真撮影禁止という張り紙が数カ所にあり、それに入浴者も複数いるので写真は撮れませんでしたが、その分ゆっくりと暖まりました。日差しが窓から差し込んでいて、浴槽からの湯気が光っています。時間が停まったような空間でした。晴れの日の日中に入るのがここでは最高だと思います。
温泉から出て、時間でもあるのでお昼にする事にしました。柏屋カフェという所が雰囲気もよく美味しそうだったので行ってみましたが、混んでいると思いきやお客さんは1組みだけ。すぐに入れました。
最初に店員さんから今日はコーヒーメーカーが壊れてしまっているので、コーヒーが全て出せないような事を言われてしまいますが、食事目的だったので構わないと、出入り口際のテーブルに着きました。
メニューをみて、私はこちらの名物でもある柏屋カレーを、妻はイタリアンラーメンというトマトベースのスープにパスタが麺という不思議なものを頼みました。オーダー後ふと上を見上げると、吹き抜けの脇に客席があるようでした。2階にもお客さんがたくさん入っているようです。
カフェという事もあり、コーヒーが出せないのは致命的ではないかと思います。こちらの温泉マークをあしらったカプチーノが名物のようで、あとから入ってきたお客さんは諦めて帰っていかれる方もいました。
10分ほど待った所で料理が出てきました。カレーはキーマとタイカレーの2種類がかけられていて、どちらも結構本格的な味でした。妻のイタリアンラーメンも単なるトマトベースではなく、濃厚でパスタの麺でもしっかりスープが絡んでこれまた美味しいものでした。四万温泉でこのような本格的な食事ができるとは思いませんでした。
四万温泉柏屋カフェ

腹もふくれたので車に戻り、今度はめいを連れ出して記念写真です。さきほどの積善館前では、いつも大勢の観光客が集まっています。おまけに巨大な休憩スペースまでできているほどでした。次々と観光客がひっきりなしに写真撮影していますが、私たちもその間隙を縫って撮影。オスワリやマテがまだできないめいを、横で妻が誘導して、私がその前の地面に寝ころがりつつ、声をかけます。傍からみると滑稽でしょう。いいんです、いい写真が残れば。くーはこの記念撮影のモデル業はプロでしたが、めいにも頑張ってもらおうと思います。
さていよいよ帰路につきます。とはいっても妻が寄りたい所もあるので、少し草津方面に戻って榛名湖の西側を抜ける狭い国道を通り、高崎市に抜けます。交通量もそこそこあり少し時間を要してしまいましたが、以前1度立ち寄った事がある高崎クリスマスローズガーデンという所に到着。以前は1台もいなかったのに、今日は駐車場いっぱいに車が停まっていました。ざっと10台ほどはあるでしょうか。
目的はこちらで栽培されているクリスマスローズの苗を買う事。庭のある家に4年ちょっと前に引っ越してきてから、妻は庭仕事が日課になった事もあり、いろいろ増やしています。欲しかった苗を買う事ができたようでした。 
高崎クリスマスローズガーデン

微笑庵
満足しながら最後に高崎の和菓子屋、微笑庵に立ち寄りました。冬場はここに苺大福が絶品で、遠回りしても寄っています。つい2ヶ月前も立ち寄ったのですが、今回はなんとすべて売り切れ。次々やってくるこの苺大福目当ての客は、みな落胆して帰っていきます。そして我が家もその一組でした。
残念ですが仕方ありません。また来シーズンに望みをかけ、前橋ICから関越道に乗りました。途中嵐山PAでトイレ休憩を取り、一気に帰路へ。自宅近くのガソリンスタンドで、冬のお約束でもある塩化カルシウムまみれになった車体を洗い流し、ガソリンを満タンにして帰宅しました。
めいは3ヶ月前にやってきて、毎月計3回の雪山旅を経験しました。春に向けてまたちょこちょこと旅に出る予定ですが、夏場は暑すぎてどこにも出かけない旅のオフシーズンです。もっとも楽しみなのは虫たちもおらず色鮮やかな秋ですが、めいとは四季を通じた旅をしていきたいと思っています。くーと旅した日々を思いだしながら。
(Travel date : 日程:2015年3月12日〜14日)
(2015/4/2掲載)
(埼玉県、Yさん  くーたら日記 Hill Breeze)

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