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[特集]冬の会津と那須で雪とたわむれる旅


・2015年2月20日(金)
 
愛するくーが昨年6月に11歳半で急逝し、全ての事が手につかなくなってから半年。生まれかわりを探していましたが、縁があって、2歳を過ぎたコーギー・ペンブロークの「めい」が我が家にやってきました。当然コマンドはまったく通じず、飼い主と毎日一緒に過ごす事も未経験な子でしたが、2ヶ月半を迎えて少しづつ気持ちが伝わるようになってきました。
この意思の繋がりを深くするためにいろいろな事もしていくつもりですが、我が家はやはり旅の中でもっと深めていきたいと思っています。
実は1ヶ月前にも1泊の小旅行をしましたが、その時はさすがにめいがどのような行動を取るか試験的なものでもあり、定宿の花闊歩さんにお邪魔しました。そこそこいい旅ができたので、今回はちょっと足を延ばしてみようという事になりました。
朝5時前に起床。5時40分に自宅を出発し、ガソリンを満タンにした上で東京外環大泉ICから高速に乗りました。助手席の妻と、後部座席のめいは早速寝息をたて始めました。めいはクレートの中だけは慣れています。
最初の目的地には早く着きすぎてもよい事はないので、急がずに普通のペースで走ります。しばらくして東北道に入り、北上します。
佐野あたりで太陽が右後方から顔を出し、ヘッドライトを消しました。たまに異常なペースで追い抜いていく車はありますが、気温は1度。路面凍結こそありませんが、平和な移動行程です。時折路面の継ぎ目でひどく揺れる時がありますが、こればかりはどうしようもありません。空気圧もスタッドレスですが、高速移動が多いため適正より0.1kほど高めています。
7時半に那須高原SAへ到着。車が停まると妻も起き出してきて、トイレと朝飯をと建屋の中へ。ほとんどが閉まっていますが、パン屋は焼きたての品を並べています。またお土産売店も稼働していますが、店員もレジに1人しかおらず、お客さんもまばらです。
パンを数個買い、車に戻ります。座席で持参の保温ポットに入っているコーヒーやハーブティーとパンで朝食にしました。その後、クレートからめいを出して、軽くトイレ散歩です。日陰は霜柱があり、汚れそうでした。
少しゆっくりしすぎかもしれませんが、8時半近くになって再度移動開始。白河ICで降り、R289に入り、甲子トンネルをくぐります。標高をあげていくと、道脇に雪が少ないですが残っていました。天気状況で確か昨日の朝は降っていたはずですが、ほとんど新しい雪はないように思えました。
下郷町に入ってR121へ折れます。しばらく進むと観光地、「塔のへつり」の入口を右折。ちょうど直前に車が福島ナンバーの車が1台走っていますが、観光客のようです。みやげ物屋がある小さなロータリーには雪が結構残っており、車を停めるスペースがほとんど空いていませんでした。仕方なく端の雪に乗り上げるようにして駐車。めいを外に出して散歩開始です。
塔のへつりというのは、河食地形で絶景になっている場所で、国の天然記念物に指定されているそうです。特に雪のこの時期は、険しさを感じさせます。「へつり」とは会津の方言で川に迫った険しい断崖の事らしいです。
降りる場所から下っていくと、先行の年配の観光客が賑やかに土産物屋で話をしていました。どうも客引きのお兄さんが会話を盛り上げているようです。我が家はめいを連れている事もありスルー。すぐ下で断崖の景観を見る事ができました。
冬期に吊り橋を渡る事ができるのかわかりませんでしたが、どちらにしても今日は保守作業中で立ち入り禁止になっていました。作業員の方が準備をしています。あとから来た二人はハーネスをつけ、ザイルとカラビナで武装しており、これから大変な作業をする感じが伝わってきました。私たちは少し眺めて写真を撮ってから引き返しました。
車に戻り、R121で北上を再開します。すぐ先に青い行き先看板で、いよいよ今日最初の目的地の地名が出てきました。また先行車に軽トラがいるため、ゆっくりと谷間をくねくねと登っていきます。除雪車で一気に寄せられたのがわかる、汚れた雪がガードレールのはるか上に積もっていました。ほどなくして大きい駐車場が現れ、数台の観光客の車が停まっているのが見えました。
我が家はそのまま行き過ぎ、先にあるそば屋の無料駐車場に停めようと思ったのですが、そこは駐車場ごと深い雪に埋もれていました。誰も停まっていません。何とか駐車スペースを探して停め、今日のメインイベントの散歩開始です。
ここは冬でも観光地です。というよりも冬こそが最も雰囲気のある季節とも言えます。ここは「大内宿」(おおうちじゅく)といいます。
歩いていると雪が降ってきました。勝手なイメージですが、冬の会津という雰囲気です。およそ450mほどの1本の街道を挟んで両側に、道に妻を向けた寄棟造の民家が建ち並んでいます。もともと江戸時代には「半農半宿」の宿場だったようですが、今では宿は一部で、殆どが土産物屋のようです。こちらの名物は曲がり葱で食べる高遠そばです。高遠というと、私は桜で有名な長野は伊那谷のそれを思い出してしまいます。伊那の方の高遠はバイクで何度か行ったり、冬には車ですが高遠から諏訪への杖突峠をスパイクタイヤで走ったものです。
この中で犬も入れる軽食屋が2箇所あります。「玉屋分家」と「玉川屋」ですが、できればスイーツでもと思っていたのですが、どちらもおやすみでした。平日金曜日の10時でもこれでは、ちょっと寂しい感じです。ちょうど1週間前は、シーズン通して一番混雑する雪まつりだったようで、そのために雪灯籠やお店の前に雪のオブジェ、かまくらなどがまだ残っています。一部雨や気温上昇のために崩れかけているので、危ない場所には立ち入り禁止になっていました。
中央ほどに下郷町の町並み展示館があり、その前には大きなかまくらがありました。妻とめいも強まってきた雪を避けてその中で休憩。タイミングをはかって、北側にある神社の高台に上り、有名な風景をバックに写真撮影もしました。ただこの時、めいはまだ我が家に来て2ヶ月ちょっと。オスワリもマテもできないので、大変でした。くーのように何でもできるようになるまで、どのぐらいかかるでしょうか。
観光バスでやってきた中国人観光客をやり過ごしながら、ゆっくりとしたペースで往復して観光しました。真っ青な空もいいですが、雪が降る会津らしいモノトーンの世界もいいものです。
汗ばむぐらいに歩いたあと大内宿を離れ、国道へ出ず大内峠から氷玉峠を越えて会津若松へ抜けました。途中除雪車の作業中で通行を待たされたりもしましたが、それほどタイムロスなく走破できました。4駆にスタッドレスのSUVはこういう道では強い味方です。
町中を抜け一気に喜多方へ。駅近くにあるこちら有名なお店ですが素朴な「食堂なまえ」に12時40分に到着。ちょうどお昼時でもあり、狭い駐車場は半分が「わ」ナンバー、半分が地元の営業車でした。ぶつけられそうな状態の中、なんとか待たずに席に座る事ができました。年配のご夫婦がオーナーのためか、混雑は苦手のようです。私はこちらの手打ちラーメンが食べたかったので、大盛り+チャーシュー麺にします。
ほどなくしてやってきたのは、とても素朴でさっぱりしたものでした。麺はコシがあって手打ちのよさが出ています。だしも喜多方を代表するようなラーメンでした。
満腹になり猪苗代湖方面へ来た道を下ります。R121を走っていると「会津縦貫道、無料開放中」という看板をよくみます。我が家のナビの地図は最近最終バージョンを更新したばかりですが、地図は2009年度というもので、載っているわけがなく、どこからどこを繋いでいるのかもわからないため、仕方なく旧道を走りました。
猪苗代湖畔に出て、東へ。ここで事前に調べていたスノーシューポイントがあったのですが、残念ながら駐車スペースやコースのアプローチなどの除雪が行き届いていない上に、少し前に雨が降ったのか足場が悪く、入り込む事ができず断念となりました。悔しいので湖畔でどこかめいを遊ばせる所がないかと地図を見てR49を走りますが、なかなかみつかりません。
試しに側道を入ってみると、我がエスクードでも危険な雪質で車体を擦りそうなぐらいの積雪量で出てこれなくなりそうです。念のために持参した折り畳みのアルミスコップや牽引ロープは、できるだけお世話になりたくありません。
白鳥の飛来地近くに、しぶき氷が観られるという観光地があるようなので行ってみました。こちらには駐車車両が数台あったにもかかわらず、地面がぐちゃぐちゃ。これで遊ばせると後が大変な事になり、場所を探しているうちに時間的にも厳しくなってきたので、残念ですが撤退を決めました。ここから宿まではまだ100km以上もあるのでした。
猪苗代磐梯高原ICから磐越道に入り、郡山JCTを経由して東北道へ。朝寄った那須高原SAの上りに入り、めいを少しだけ散歩させます。給油後400km以上走り、山道や市内を走った関係でガソリンが危険になってきたので、那須塩原SAのスマートICで一般道に降り、ガソリンスタンドを探す事にしました。しかしなぜか殆どありません。仕方なく那須高原方面へ入り、価格表示していないスタンドばかりの中の1軒に入ると、141円/Lと言われました。とりあえず帰れる量という事で、20Lだけ入れる事にしました。
那須の温泉街に入るあたりで、最後の目的地であると「ミートショップ鶏春」さんに到着。明日お土産で持って帰るつもりの特製ローストチキンを予約しました。明日の昼前には引き取りに来ると伝えます。そして少し下った先のセブンイレブンに寄って夜の飲み物やお菓子を買い、本日の宿へ。無事17時までという門限の15分前に到着し、チェックインしました。
宿は「カーロフォレスタ那須高原ヴォルペ」。初めてのカーロです。本日は私たちを入れて4組が泊まるそうです。移動ばかりの疲れを、こちらのおすすめする素晴らしい温泉に入って体を休めました。
 

・2015年2月21日(土)


2日目の朝、宿のドッグランからはじまりました。めいは元気です。まだレトリーブも完全ではありませんが、少しづつ遊ぶ中のトレーニングで、まったく持ってこなかったオモチャも、投げた人の手元まで運んでくれるようになってきました。
できればくーが大好きだったディスクもぜひ覚えてほしいと思っていますが、ダイレクトキャッチどころか、ディスクに興味をまったく示しません。気長にやっていこうと思います。
食事前の運動を終えて、たっぷりボリュームの朝食をいただき、スタッフの方にお礼を行って9時半に出発です。
まず、くーと最初に雪あそびに来た思い出の八幡温泉方面。ここのホテル一望閣でレンタルスノーシューを借り、那須自然遊歩道を歩きました。ここにはコーギーの親戚犬の友達とも来ていますが、その後非常に残念な福島第一原発の事故により、那須全域が汚染されてしまい、しばらく行き先から外していました。実際この旅の中で、高速道脇や民家の近くで、除染作業中というのぼりを挙げて枯れ葉や土の除去をしている姿をみかけており、今でも厳しいんだと感じさせられました。
ただし雪が積もっている状態であれば比較的安全です。地面すれすれの所を活動する犬にとって、特に危険である側溝のあたりは飼い主が避けても向って行ってしまいます。土がまるごと出ているような場所ではできるだけ遊ばせず、雪の上限定で今回もできるだけ注意をしつつ遊ばせました。ただ、こればかりは人の感覚なので、一般論ではないと思います。実際今回、ガイガーカウンターをあえて持って行きませんでした。
雪のある場所を目指し、今回新しく行き先としたのは、シーズンにはすばらしい八幡つつじがみられるというつつじ吊り橋のエリアです。駐車場が除雪されていなければ諦めなければならないと思っていましたが、ぐるっと車がひと回りできるように除雪されていました。そこに2台ほどの車が停められており、先客がいるのがわかりました。
スノーシューを出して準備します。遊歩道の入口はしっかりとアプローチがわかるようになっていて、私が用意をしている間に妻が確認をしにいくと、スノーシューなしでも大丈夫そうだと報告してきました。それならばと1度出したスノーシューをしまい、カメラを持って出発です。
歩くルートはでこぼこで一旦踏み固められているので、とても滑ります。それでもヴィブラムソールでゴアテックスの軽登山靴であれば、それほど苦もなく歩ける感じです。程なくして巨大な吊り橋に出ました。手前と渡り切った先に同じような休憩場所である東屋があります。
とても高い位置にかかっているこの吊り橋、強度はありますが、隙間があるためちょっと犬連れは気をつけなければなりません。おまけに途中から中央がグレーチングになっていて真下がまる見え。2人があるくと片方の反動で妙に揺れるため、妻は根をあげてしまいました。めいを私が連れて、なんとか渡ってもらうまではどうなる事かと思いました。
到着した東屋から先がなんと、トレースがありません。長靴のようなもので歩いた跡がちょっとだけありましたが、スノーシューがなければ歩けない感じです。仕方なく妻とめいと私の荷物を置き、駐車場まで引き返してスノーシューを持って来る事にしました。
往復はしんどいですが、それほど時間がかからずに戻って来れました。いよいよスノーシューを持ってきた意味のある散歩です。めいは埋もれてしまうので、先に妻が歩き、後ろをめいがついていき、そのあと私が追うという形で進む事になりました。途中標識や青いリボンがありますし、ルートがそこはかとなく判るので問題なく進みます。
雪の表面は誰も歩いた跡がなくなり、かすかに溶けて凍ったような感じはありますが、ほぼ新雪でした。めいも2度目の雪あそび、少しづつ勝手がわかってきたようで、勝手に横道を作って歩きまわったりしはじめました。
つつじの低い木がある中、隙間を縫うように歩きます。この遊歩道には何カ所か展望台のような所があるので、そこをまわっていくつもりです。つつじのシーズンはきっと鮮やかだろうと思います。その時は木道が整備されているので、また来てもいいなと思いました。
展望台はおよそ2階建ての高さであり、階段に雪が積もった状態で登るのは大変でした。私はスノーシューをつけたままで上り、妻は結局、一旦外していました。めいも無事一番上まで登る事ができ、記念撮影。まだ1人での撮影は難しいので、抱っこして何枚か撮影します。来てすぐの時はこの抱っこも苦手でしたが、今ではおとなしくしてくれています。
遠くには那須の草原な雪山が望めました。なだらかな雪山は女性的な茶臼山(1,915m)、険しくて男性的な山は朝日岳(1,896m)。どちらも青空の中、美しく雪が輝いていました。持ってきたポットのハーブティーを飲みながら、キンとした空気を胸いっぱいに吸い込みます。
ぐるっと1時間半ぐらい散歩したあとで東屋に戻ると、子供連れのグループが10人ぐらい大騒ぎしていました。彼らはスノーシューがないので奥までは行けないでしょう。それでも楽しそうに雪あそびをしています。子供にはいい思い出になるでしょう。
たちはその間を通過し、めいを連れつつスノーシューを外し、橋を渡って戻りました。きっと彼らもスノーシューに興味を持った事でしょう。駐車場に戻ると、今度は別の超大型犬のグループが今到着したばかりなのが、賑やかな状況でした。サモエドやラブなど、雪が大好きでもう大興奮を抑えきれないでいます。飼い主が大変そうでした。県外ナンバーだったので、私たちと同じく雪あそび目当てだったのだと思います。みんな嬉しそうです。
たちは片づけをして、撤収。時間が昼前だったので、先に昨日オーダーしていた「ミートショップ鶏春」さんにローストチキンを引き取りに行きます。無事受け取ってクーラーボックスへ収納しました。
その後、くーと最初に来た那須の時に立ち寄った大好きな「鹿の湯」へ向うと、妙な感じがしました。そう、駐車場がガラガラなのです。近づいていくと、なんと26日まで臨時休業中との事。ショックでした。軽くかいた汗を温泉で流そうと思ってきたのですが、単なる温泉に入れないというショックだけでなく、ここの硫黄泉に入れないのは結構誤算でした。
しばらく考えて、結局今来た道を戻り、山の上にある温泉に向う事にしました。この時、私の頭には北温泉があったのですが、なぜか勘違いして大丸温泉に向ってしまいました。行き止まり付近のスキー場は大繁盛で、路駐の車だらけ人だらけのラッシュです。大丸の駐車場も満杯。みているとスキー客が勝手に停めているようで、待っている間にスキー場からスキー板を背負ってきた人が乗り込み、出ていきました。
車を停めて、めいのため窓を少し開け、風呂セットを持っていざ入浴です。フロントで1人1,000円の計2,000円を払い、混浴用の体を隠すタオルと、名前の入った小さく薄いタオルを渡されました。それを持って味のある湯船へ。
男湯には大きな露天があり、ここは原則混浴です。さきほどフロントで貸してくれた体を隠すタオルで混浴の湯船に入る事ができます。内湯よりもやはり雪見風呂が人気のようでした。
泉質はとてもクリアでクセのない単純泉のため、私としてはちょっと不満足ですが、雰囲気はあります。すでに私よりも年配の夫婦が2組、湯船に浸かりつつ会話をしていました。他には男性が2名。ここの湯船は玉砂利が敷かれていてとても痛く、でも折角なので奥の湯船にも歩いていきました。しばらく待っていましたが妻は出て来ず、のぼせてきたのであがりました。
フロントの近くで休憩スペースがあり、そこで待っていましたが、いつもより長湯のようでした。やはり温泉は旅のイベントとしては重要です。北温泉であればもっと雪深く、山の中という雰囲気を味わえたのですが、時間もなかったので次回の楽しみにとっておく事にしました。
ほてる体と強い日差しのため、車の窓を全開にして山を下り、那須の市内にある鮨屋に遅い昼飯を食べに向います。しかし思いのほか時間がかかり、到着したのが14時半。丁度昼の営業が終わる時間に滑り込みましたが、なんと満員のため早めに営業終了との事。とてもショックでした。
ものすごい脱力感に襲われつつ、西那須野塩原ICから東北道に乗り、上河内SAの場末のレストランで極めて普通の夕食を取り、その後蓮田SAで休憩しつつ、近所のガソリンスタンドでガソリン補給と洗車をして帰宅しました。
今回は久しぶりに那須というだけでなく、いきたかった冬の大内宿に行けた事が良かったです。できればくーと一緒にいきたかったけど、新しく来た家族のめいと、私たちはこれから旅を重ねていこうと思います。
(Travel date : 2015年2月20〜21日、総走行距離 : 671km)
(2015/3/22掲載)
(埼玉県、Yさん  くーたら日記 Hill Breeze)

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