2月10日(水)
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釧路。私が北海道を旅する上で、今だ最も出入口として利用した町でもあります。東京は有明埠頭から釧路西港を結ぶ長距離フェリーがなくなってからもう10年経ってしまってもなお、私にとっては特別な町です。
釧路は港町。そして何より有名なのはやはり釧路湿原でしょう。日本で最大の湿原地帯です。しかしこの町に泊まる事は少なく、その昔釧路駅構内に古い車両を改造し畳が敷かれていたツーリングトレインという1泊300円の施設を何度も利用しましたが、その他ではビジネスホテルの1泊しか記憶にありません。これはどれも犬連れではない頃の話です。今回の旅で犬連れ宿泊ができる施設を調べていく中で、一度泊まってみたいと思っていた宿がありました。それが釧路湿原の端、塘路という町にある「とうろの宿」です。 |
宿はB&B形式で、犬連れは1日1組まで。予約開始日に予約をしてあります。ランチを釧路市内でとったので、夕食はお風呂に入ってからにしようと、まず少し早めにチェックインしました。北海道の冬は明るい時間がとても短く、あっという間に暗くなってしまいます。よくわかっているところではい場合は、早めにその場所を確認しておいた方がよいと思います。
その宿は塘路の町の中ではもっとも高いところにありました。セルフビルドのドームハウスがとても特徴的なとうろの宿さんは、以前からその存在は知っていたのですが、私の行き先が中標津か和琴だった事もあり、このあたりで宿泊する機会がなかっただけなので、楽しみにしていました。 |
チェックインにはオーナーの奥様が応対してくださり、いろいろ付近の情報をいただきました。私の美留和に住む古い友達の仕事上の知り合いでもあるので、話題には事欠きません。それでもここ20年ぐらいは釧路で夜を迎える事があまりなかったので、とても参考になりました。 |
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リビングの向こうに広がる雄大な景色を眺めていると、ここでぼんやりと夕陽を眺めていたくなります。それならばとポイントを教えていただき、ここから一番近い温泉に行く途中にぎりぎり見ることができました。
野生の鹿がうろうろする温泉、憩いの家かや沼で体をほぐし、夕食は釧路名物になりつつあるザンギに甘辛いタレのかかったザンタレを食べに、元祖と言われる南蛮酊でいただく事に。夕食がつかなくても、釧路近郊であればまだまだいろんなおいしいお店があるので、楽しめると思います。
真っ暗な国道を鹿に気をつけながら走り、高台の宿に戻ってきました。車を駐車場に停め、ふと空を見上げると満点の星空。ドームハウスの屋根の向こう側にオリオンが鮮やかに見えました。 |
部屋に戻るとリビングで中国語で静かに話す少し年配の二人が、音楽を聞きながら会話をしていました。今晩は他に宿泊客はいないようで、静かな夜です。めいをリビングに出せないので、私たちは部屋の中でゆっくりする事にしました。 |
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部屋には洗面台があり、犬連れとしてはとても助かります。クロゼットには組み上げられたスチールネットのケージや、小さな折り畳みテーブルもありました。テレビはありませんが問題ありません。またこの部屋は外に出られる扉があり、ベランダ経由で外に降りられる構造になっています。ただ冬期である今は、積もった雪が凍りついていて、出るのが危険そうだった事もあり、利用はしませんでした。 |
元気があれば車でちょっと遠くに行き、星空の写真でもと思ったのですが、そろそろ旅も後半なので思いのほか疲れが出たらしく、強い睡魔に襲われてあっという間に負けてしまいました。
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2月11日(木)
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静かな朝です。朝食時間まで少し時間があったので、少し塘路の町中をめいを連れて散歩する事にしました。人が誰も歩いていない、朝の雪国。釧路でこれだけ雪が道路についているのは珍しいかもしれません。
いつのまにか一番低い位置にあるJR塘路駅まで来てしまい、思いのほか時間をかけた散歩になってしまったようです。少し早足で宿に戻りますが、今度は登りなのでいい運動になりました。
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予定より10分ほど遅れてしまいましたが、私たちが戻ったのを確認してから、奥様ができたての朝食を用意してくださいました。窓の外を眺めながら、そしてお話をしながら、ゆっくりいただきます。
宿に戻ってくる途中、ワンボックスにカヌーを乗せて旦那さんとすれ違いました。結局ご挨拶はできませんでしたが、あとで奥様に聞くと今日は別のお仕事があったとの事です。旦那さんは旅人でありハーレー乗りであり、ミュージュシャンでもあるそうで、リビングには楽器がたくさん置いてありました。今回は残念ながらお話ができませんでしたが、その分奥様とは窓から広がる湿原を眺めつつ、犬や道東などいろいろな話をする事ができました。
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特徴のある建物も、楽しい空間でした。ログハウスやリンダル・シダー・ホームズのような道東の自然に溶け込む素晴らしい建物に泊まれるのが旅の楽しみでもあります。今回のドームハウスは初めてでしたが、柱が不要な構造のせいでしょうか、思いの外広い空間で、間取りもけっこう自由に取れるのがわかりました。魅力のある建物です。
こうしてみると何度も訪れた釧路エリアですが、まだまだ行ったことがない、知らないところがたくさんあります。あらためてこちらをベースに巡る旅をしてみたいと思いました。
犬連れ宿泊ができる宿だった所が、気がつくと禁止になっている例が極めてたくさんあります。ぜひこれからこちらの宿を利用される方は、犬連れ宿泊を続けていただくよう、マナーの遵守だけでなく、まわりが気持ちよい旅の時間を過ごせるよう、気配りをよろしくお願いいたします。 |
(2016/2/10〜11泊) (2016/4/8)(埼玉県、Yさん くーたら日記
Hill Breeze)
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