カーナビに事前に目的地として宿の場所を入れてきたのですが、住所からだと宿のウェブサイトに載っている地図とは違った場所を指してしまいます。ウェブサイトの地図をベースにして、おおよその感覚で設定した場所よりも随分距離を走った所に、目指すロッジ・クルトはありました。 周辺に民家もない所に、ヨーロッパ調の色合いの宿が突然現れます。宿のとなりには柵で囲まれたドッグランと、空き地が広がっていて、広々としているように見えました。車を玄関と思われる建物の前に停めて、チェックインのために管理棟に入ると、明るい女性が現れて歓迎してくれました。お世話になりますと案内された部屋は、角に位置していてとても広く、そして清潔な部屋でした。てっきり新築なのかと思ったのですが、もう何年も前に作られた建物だと言われて驚いてしまいました。 建物は平屋りで、クイーンサイズのベッドが2つに、小さいテーブルと椅子のセットとユニットバスがあります。コンドミニアムのように各部屋への扉は屋外にあり、その扉をつなぐ通路はウッドデッキで繋がっていて、明るい雰囲気でした。ただ雨が降ったら屋根もないので濡れてしまうかもしれませんが、とても開放的で扉の外に椅子やテーブルのセットもあって、また犬の足洗い場もお洒落に作られていました。犬連れ客の心情に配慮し、
えてしまっても響きにくい構造が採用されているようです。宿泊客は神様でも何でもなく、いかにこの宿をうまく使えるかが問われているような構という感じというのは言い過ぎでしょうか。 これはとても重要な事で、お金を払う分、全てサービス対象のおまかせ型となってしまう宿と、宿泊客自身がその宿の環境にあわせて、過ごしやすいように考えながら滞在する時間を作り上げていく宿のどちらかであれば、私は後者を選びます。おまかせになるよりも、宿泊客自身が思いやりやマナーを見直して、一緒にその時間を共有できて、楽しむ事ができれば、お互いを尊重しあいながら過ごせる、それが一番理想だと思っています。 反面、ペット可の宿の中には、宿泊料金を払っているのに、何故そこまで強要されなければならないという疑問を感じてしまう宿もあります。決めてかかったようなルールは、宿側と客側の信頼関係のかけらも感じられないような事が、平然と言われる場合があるからです。それは過去宿泊したペット連れの客が、何らかの問題行動を起こしてしまった事が原因になっているのかもしれませんが、宿業というのは宿泊客を迎えるサービス業であって、何事も行き過ぎは不快感を生んでしまうでしょう。その微妙な関係をよいバランスで保ち、宿主も利用客も両方が一緒に楽しい時間を過ごせるような工夫やポリシーが見られる宿というのが、大事なのではないでしょうか。 このロッジ・クルトはシンプルな宿ですが、でも十二分に滞在中、快適に過ごす為のスペースと自分で作り出す時間を宿泊客に与えてくれます。B&Bという宿スタイルからも、その方向性が伺えます。1泊2食付で素泊まりと食事の値段が曖昧な所が多い中、快適な1泊を過ごす空間への料金がはっきりしている事や、近所においしい料理が食べられる店があれば、宿泊客も食べたいものが選べるというメリットもあるでしょう。何にいくら払うべきかという基準がはっきりしているという事は、結構重要な条件だと私は感じています。 私たちは夕食と風呂で、車で20分位離れた所にある、ふれあいの里の中の「おいしい学校」という所を教えて頂き、そこでイタリア料理のフルコースで楽しみました。本格的なフルコースで何だかいい気分。そしてその建物の中にあるハーブの湯は、19時以降は300円とお安くなり、食後で苦しいお腹をかかえて、ハーブいっぱいのお湯で暖まって、満足気分の中、宿に戻りました。
まだ時間的に寝るには早かったので、広い部屋の中でお茶を入れて清泉寮近くのパン屋で買ったタルトでデザートタイム。静かな清里の夜はとても豪華な気分でふけていきました。テレビもなく、静かな夜は私が一番求めている旅先での時間なので、とても快適でした。星が見えるか外に出てみた時、管理棟では常連さんと宿主さんが談笑される事が窓の外に聞こえていました。そういう過ごし方もまたよいでしょう。 朝になって、くーが外にいきたいと歩き回っています。ドッグランまでねぼけながら散歩にでると、貫祿のある宿主さんが現れて、色々な話をしました。トレーニングの話、しつけの話、宿の話。とても犬と暮らす事に対して前向きで、また優しさを持っておられる事が、話の端々から感じ取れました。
B&Bなので朝はパンとコーヒー、紅茶がフリーになっています。受付横に準備されているパンと飲み物を好きな分頂いて、部屋に持ち帰りゆっくりと朝食を取りました。チェックアウト時間近くまでゆっくりさせて頂いて、また必ず来る事を約束して宿主さんご夫妻と別れました。 リピーターが多いと聞くこのロッジ・クルト。私のように過剰なサービスはいらないと思うような人には、清里ではイチオシの宿です。 (2004/09/23〜24宿泊) (2005/10/23掲載) (東京都、Yさん くーたら日記 Hill Breeze)
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